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来店寄与が大きいマーケティング施策は何か!? 紙チラシ・SNS・デジタル広告・TVCMの効果を統合的に解明

来店寄与が大きいマーケティング施策は何か!? 紙チラシ・SNS・デジタル広告・TVCMの効果を統合的に解明

株式会社トライアルカンパニー

2024.03.04

KEYWORDS

  • #MMM
  • #小売店
  • #広告効果検証
trial

トライアルカンパニーは、あなたの「生活必需店」。をコンセプトとし、九州を地盤として日本全国に300店舗以上のディスカウントストアを展開しています。食料・日用品・衣料品など日常生活に関する多彩な商品がそろうスーパーセンターTRIALを中核に、美味しさにこだわった食料品や価格競争力の高い商品ラインナップでお客さまに選ばれ、22年間連続増収を果たしています。

その躍進を支えるのは、レジカートなどのIoT 機器や AI 技術、データの利活用をもとにした「新しい購買体験」と「効率的な店舗運営」です。マーケティングにおいても、どのような手段でお客様にTRIALのファンになっていただき、店舗に足を運んでいただけるかをデータで解明し、継続的にアップデートを続けています。本記事では、さまざまなマーケティング手段に取り組むTRIALが、MMMを用いて統合的に最適化をし続けている取り組みについてご紹介します。

<この記事のポイント>
● リテールMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)最前線
● 来店に影響を与えるさまざまな外部要因も含めて、影響を統計学的に定量化
● 施策量に応じたシミュレーションを行い、マーケティング施策全体の投資配分の見直しも

来店人数をコンバージョンとしたMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)

消費者のメディア別接触時間のトレンドなどに対応し、TRIALはデジタルでの消費者コミュニケーション割合を増やしています。そして、TRIALの全店舗にはビーコンが設置され、unerryのリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」と連携することにより、スマートフォンアプリやLINE、デジタル広告を中心とした日々のマーケティング施策の来店効果計測や来店人数の推定などを行っています。

しかし、実際店舗に足を運ばれるお客様のきっかけは、投函されるチラシやTVCMなどもあれば、マーケティング手段と関係なく「家から近いから」という場合もあります。そこで、デジタル広告やSNSといったマーケティング施策のみならず、来店に影響を与えるさまざまな外部要因(例えば、曜日や天候など)も含めて、来店人数に与える影響を統計学的に定量化することで、各マーケティング施策の貢献度を可視化しました。

 

 



 

その結果、紙チラシは一定の下支えとなっていること、店舗別のLINE公式アカウント運用が漸次、来店への貢献が大きくなっていることなどが明らかになりました。さらに、費用対効果で評価したところ、LINE公式アカウントや、リアル行動データを活用して最適化をし続けているSNS広告などの費用対効果が来店者数増の観点では投資対効果が高いことなどが見えてきました。

また、TRIALでは各地方により出店状況やマーケティング施策も異なるため、地方別評価も行っています。さらに、この統計モデルは定期的にインプットデータの更新を行うとともに、施策量に応じた複数パターンのシミュレーションを行いながら、マーケティング施策全体の投資配分を定期的に見直す取り組みが進んでいます。

<MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは?>

マーケティング手法やメディア環境が多様化していくなか、コミュニケーション投資をどの施策にいくら配分すべきか判断するため、統計技術により各マーケティング施策のROIを評価する方法。効果測定(CV)となるKPIをさだめ、影響を与えるマーケティング施策やマクロ的にビジネスに関わる変数(景況指数や季節性など)をインプットとしてモデルを構築し、投資対効果の評価や配分の最適化、シミュレーションなどを行います。

注目される背景には、ITやIoT化により生活者行動等のデータ化が飛躍的に進化し、より実効性の高いモデルが構築できること、Cookie利用規制等により広告コンバージョン計測が従来期待された正確性を失いつつあり、プライバシー性を保ちつつマーケティング施策を横断的に評価する手法が求められること等があります。

INTERVIEW

商圏のお客さまに情報を届けるなかで、”最高の人と商品の出会い”を成しえるための挑戦を続ける。

株式会社トライアルカンパニー マーケティング部 部長 野田 大輔様

――MMMに取り組んだ背景について教えてください。

株式会社トライアルカンパニー 野田 大輔様

僕たちが取り組んでいることは色々あるけれども、結局はトライアルを好きと言っていただける方が増えるためのチャレンジをし続けている、という感覚なんです。どう好きになってもらえるかというと、例えば、行くと自分の好きな商品と出会えるとか、そういう好意の積み重ねだと思うんですね。だから、来店・購買といったデータを活用したショッパーマーケティングの一つとして、デジタル施策の最適化にも何年も力をいれています。

ただ立ち返ってみると、商圏のお客様に情報を届けて好意をもってもらいたい、というのが根本の話なわけです。そう考えると、デジタルにしてもテレビにしてもチラシにしても、情報接触してご来店いただきたい事には変わりがないので、一番大きな観点として、どこにどれだけ割り振るかが大事になってくると考えました。そこをしっかりと判断できるようにしておきたいです。

 

――評価結果について、どのように感じられましたか?

思った以上にLINEの効果があると感じました。LINEのお友達数の上昇とともに来店数が増えているという構造がはっきり見えたのが良かった。細かい施策の良し悪しも大事ですが、大きな構造をつかむって非常に大事だなと思っています。あと、新しい取り組みは常にしているんですが、投下が少なすぎると統計上有意な評価ができないから、良さそうなものは一定以上の規模にしてきちんと判断していくことも大切ですね。

――御社のデータや他の代理店が運用されている広告内訳など、なぜここまでデータを共有いただけるのでしょうか?

「取引」ではなく、「取り組み」を一緒にしていると思っているからですね。各社にご協力いただいて、最高のマーケティング、最高の”人と商品の出会い”を成しえたい。そこに到達するための協力、知見の獲得、成長をするパートナー同士の連携だと思っています。

――MMMの今後の活用や発展の方向性について教えてください。

まず、継続的に止めずに進めたい。何度もやり続けることで精度もあがるし、モデルと施策の連動性があげられると思っています。
フライホイールモデルをうまく回していくようなイメージで、何事もまず早くやってみて、評価して、フィットさせていく。連動性を高めることで、評価・最適化の部分は機械学習や新しい技術などを取り入れつつ、どのようにするかといった「人でなくてはできない判断」に時間を使って、トライアルを好きと言っていただける総量を増やすチャレンジを続けていきたいと思います。

[取材日] 2024年1月10日 ※記載内容は取材当時のものです。

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