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みなとみらい初出店の「VS PARK」  人流データによる出店地分析でお客様ニーズを発見し新商品を開発 想定以上の売上を実現

みなとみらい初出店の「VS PARK」 人流データによる出店地分析でお客様ニーズを発見し新商品を開発 想定以上の売上を実現

株式会社バンダイナムコエクスペリエンス

2025.06.27

KEYWORDS

  • #エリア分析
  • #出店地分析
  • #観光
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株式会社バンダイナムコエクスペリエンスは、バンダイナムコグループの一員として、その総合力を活かした「リアルエンターテインメント体験」を提供する企業です。同社はさまざまなアミューズメント機器や施設の企画・プロデュースを行っています。

<開業時のキービジュアル>

屋内型アクティビティ施設「VS PARK」もその一つ。「VS PARK」は、テレビのバラエティ番組のような体験ができる新感覚の施設で、SNSで話題のアクティビティを多数取り揃えています。2024年7月には「VS PARK 横浜ワールドポーターズ店」をオープンし、さらなる施設展開を進めることとなりました。本記事では新店のプロモーション施策や商品開発に活かすため、unerryの人流データを用いて行なった分析事例をご紹介します。

事例取材にご協力いただいたのは、株式会社バンダイナムコエクスペリエンス CXパーク事業ディビジョン アクティビティ事業部 近藤 豊治様と、西宮 良亮様です。

<この記事のポイント>
● 新店プロモーションや商品開発に活かすため、出店予定地を人流データで分析
● 重要顧客像の滞留する近隣エリアと出店エリアを比較し、プロモーションの判断に繋げた
● エリア特有のお客様ニーズに応える時間帯商品を開発 予算を大幅に上回る集客と売り上げに

みなとみらいエリアへの初進出!開業前に出店予定施設の商圏や季節変動を分析

2024年7月、「VS PARK 横浜ワールドポーターズ店」がオープンしました。これまでの「VS PARK」は、ファミリー層が多く訪れるショッピングモールを中心に展開しており、観光地として有名なみなとみらいエリアへの進出は、新たな試みでした。

そこで開業準備期間中、unerryの人流ビッグデータをもとに出店予定施設の特性と、そこを訪れるお客様行動を知るための分析を実施しました。

下記の図は、出店予定施設の来訪者について、「居住地:距離帯」別に示したものです。

みなとみらいエリアにおける出店予定施設の来訪者は、10km圏内居住者は全体の30%程度に留まり、多くの方は遠くから来ていることが分かりました。比較として他店舗の出展予定施設を確認したところ65%以上が10km圏内居住者という結果になり、商圏の違いが見えてきました。

季節による変動はあるのでしょうか?下記の図は2022年8月を「1」とした時の来訪者ボリュームを月別に可視化しました。クリスマスやお盆などのタイミングで人流が増えています。2023年2月が増えているのは、周辺施設で開催されたイベントの影響もあるようです。

出店予定施設においては、遠くから「特別な1日」を過ごす目的で訪れている方が多いと推察されます。

横浜の若い世代が滞留する「横浜駅西口」との人流ボリューム・併用率を分析

「VS PARK」は学生グループに、特に人気のアクティビティ施設です。

「VS PARK 横浜ワールドポーターズ店」においても、お客様となり得る方に効果的なプロモーションを行うため、横浜の若者が多く訪れる「横浜駅西口」エリアを分析。みなとみらいエリアとの人流ボリューム比較や併用率を確認しました。

出店予定の「みなとみらい」は「横浜駅西口」よりも1.5倍程度の人流ボリュームがありました。また、「みなとみらい」を訪れた方のうち、「横浜駅西口」を利用しているのは約3割。そこで効率の観点から、近隣の若者が多いスポットに着目するのではなく、「みなとみらい」でのプロモーションに集中し、オープン時の賑わいを生み出しました。

<みなとみらいエリアでのプロモーション>

INTERVIEW

「VS PARK」で仲間と過ごす“特別な1日” メイン観光の前後に楽しめる「夜遊びチケット」を開発

株式会社バンダイナムコエクスペリエンス CXパーク事業ディビジョン アクティビティ事業部 近藤 豊治様、西宮 良亮様

――「VS PARK」が目指す世界観について教えてください。

近藤様:

「VS PARK」は、お友達やご家族、恋人と一緒に思い切り遊び、“特別な1日”を過ごせる場を目指しています。ワイワイ盛り上がり、自然とハイタッチが生まれる摩訶不思議な魅力があると思います。全力ではしゃぎ、帰る時にはより仲が深まっている、そんな体験を提供したいですね。SNSとの親和性が高いアクティビティを豊富に揃えているので学生の方には特におすすめですが、ファミリーや訪日外国人など、老若男女が楽しめる非日常の施設です。

――今回のお取組みに至る背景や課題感について教えてください。

近藤様:
「VS PARK 横浜ワールドポーターズ店」は2024年7月の開業ですが、分析実施は2023年の秋頃です。商圏内のお客様特性を理解し、商品開発やプロモーション戦略をオープン前に打ち立てるためのデータが必要でした。

西宮様:
「VS PARK」としては首都圏の観光地出店が初であり、特にその特性が強いみなとみらいエリアにおいて、新たな勝ち筋をどう掴むのかは課題でした。

近藤様:
当社では、来場者アンケート実施をよく行なっています。アンケートも有効ですが、人流データとは情報の質が異なります。たとえば、「来場者がどこから来ているか」は回答結果から見えますが、逆にアプローチできていないエリアは見えにくいです。データのゆらぎもあるので、アンケートは質的調査にフォーカスし、全体感を捉えるには人流データが適切だと思われました。

<左:西宮様 右:近藤様>

――今回の分析を経て、どんな発見がありましたか?

西宮様:
みなとみらいでは、クリスマスやバレンタイン、GWやお盆といった時期に人流ボリュームが見られ、「特別な日に来るエリア」という特徴が見えてきました。

近藤様:
横浜駅西口との人流比較についても興味深かったですね。他の分析結果とも重ねて考えると、プロモーションは、みなとみらいエリアに集中する方が効果的と思われました。

――実際にどんな施策につながりましたか?

近藤様:
分析結果から、「特別な日を過ごすために、遠くから訪れる」というみなとみらいの使い方が見えてきました。するとお客様には「観光ついでに夜まで遊びたい」というニーズがあると考え、16時から閉店まで最長5時間が遊び放題となる「夜遊びチケット」の提供を開始しました。

エリアの使われ方を理解し、そのなかで存在感を示すことが重要。時間を有効活用できる商品を提供することで、より思い出に残る“特別な1日”を過ごしていただけたらと思います。

<開業時キャンペーン「ヨコハマ夜遊びパック」 ※現在は内容が変更となっております。>

 

西宮様:
夏の開業以来、とても多くのお客様にご来場いただいています。「夜遊びチケット」も集客に大きく貢献しました。また、みなとみらいへの初の出店となった「VS PARK 横浜ワールドポーターズ店」ですが、店舗売上も想像以上の結果です。観光地としての魅力を活かした訴求が、受け入れられたと感じます。

――今回の取り組みについて率直な感想をお聞かせください。

近藤様:
unerryさんとご一緒して、見えるものが見え、不安が払拭されたという感覚があります。「最後までお客様の心はわからない」。でも、そこに近づくための羅針盤を得られたと思います。暗中模索ではなく、開業前からしっかりとデータを解析し、仮説にもとづいて施策を実行できたのは良かったです。我々の中にも分析ノウハウがたまりました。

西宮様:
こうした業務に携わるようになったのは昨年からで、当初は知識不足で戸惑うことも多くありました。しかし、unerryさんとのやりとりを通じて、新たな見方ができるようになりました。今までなかった手がかりを得られ、商品に落とし込むための手札が増えてきたと感じています。とても貴重な経験を得られたと思います。

――今後の展開について教えてください。

近藤様:
開業前分析はレポートでご提供いただきましたが、現在はダッシュボード化を進めていますよね。さまざまな施策に活用中です。

他店舗も含めて継続的にモニタリングすることでチャンスロスを防ぐとともに、どのエリアでどう力を入れていくべきかを検討するための基盤にできればと考えています。

「VS PARK」は今後も、店舗を増やしていく計画です。海外においてもインドネシアにできた「VS CHALLENGE」という施設をトータルプロデュースしています。データを有効活用しながら、引き続き「特別な1日」をたくさんの方にお届けしていきたいと思います。

[取材日] 2024年12月18日 ※記載内容は取材当時のものです。

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