
「ご縁も、美肌も、しまねから。」をデータで検証 人流データ×アンケートで広告配信による認知率&来訪意向リフトを実現
島根県
2026.01.14
KEYWORDS
- #SNS広告
- #アンケート
- #観光DX

島根県は、東西約230キロメートルに及ぶ細長い地形を持ち、日本海に面した海岸線、中国山地の山々、そして隠岐諸島という離島を擁する、海・山・離島の自然が調和する県です。
松江城
縁結びの神様として知られる出雲大社、国宝・松江城、世界遺産・石見銀山など、歴史と文化を物語る史跡が数多く残されています。古事記や日本書紀にも登場する“神話のふるさと”であり、「ご縁の国しまね」として親しまれています。
また、「美肌県しまね」としても知られており、年間を通して湿度が高く、紫外線が少ないという健やかな肌づくりに適した気候に加え、県内約60カ所に点在する温泉地も魅力のひとつです。
こうした地域の強みを活かし、島根県では「ご縁も、美肌も、しまねから。」のキャッチフレーズを掲げた観光プロモーションを展開しています。
本記事では、令和6年度に実施された観光プロモーション事業のなかで、unerryの人流データを活用したデジタル広告配信と、広告接触者への来訪計測・アンケート調査を組み合わせた取組をご紹介します。
取材には、島根県 商工労働部 観光振興課の佐伯 剛様と峯谷 斐芽様にご協力いただきました。
● 人流データを活用したデジタルプロモーションを実施し、データに基づく情報発信を強化
● 4種類の訴求テーマと人流データによるターゲティング配信で、効率的に来訪を獲得
● 広告接触者へのアンケートで認知・来訪意向のリフトを確認。複数クリエイティブ接触で効果が増大
データに基づく戦略的な情報発信を目指して デジタルプロモーション事業を開始
島根県では、観光地として“選ばれる”ための戦略的な情報発信を強化するべく、令和6年度にデジタルプロモーション・マーケティング業務を実施しました。
これまでにもテレビ等のメディアやSNSを活用した情報発信、ガイドブックの制作など、各種媒体でさまざまなPR施策を展開してきましたが、発信実績や計測データをもとに効果を可視化し、次のアクションへとつなげるといった“データに基づくマーケティングの仕組みづくり”には課題がありました。
そこで本事業では、「来訪数」をKGI(最終目標)に、「ご縁の国しまね」「美肌県しまね」の認知度向上を主要KPIに設定。unerryの人流ビッグデータを活用し、デジタル広告の配信から来訪計測、分析までを一気通貫で行い、その成果を今後の観光戦略に活かすことを目指しました。
<4つの魅力を訴求するクリエイティブを2媒体で配信>
本事業では、島根県の魅力を伝えるために、「歴史・文化」「温泉」「自然」「グルメ」といった4つのテーマを設定しました。これらのテーマをもとに、動画広告(魅力理解の促進)と静止画広告という2軸でクリエイティブを制作。InstagramとLINEの2媒体で広告配信を行いました。

人流データに基づく行動ターゲティングで効率的に来訪を獲得、来訪者の行動傾向も確認
<ターゲティングと来訪計測>
配信ターゲットは、unerryの人流データを活用し、実際の行動傾向に基づいて設定しました。
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観光地来訪者:全国の神社・寺院など、歴史や文化に触れる観光名所を訪れているユーザー群に対して配信(例:伊勢神宮、善光寺、箱根神社、東大寺、伏見稲荷、日光東照宮、厳島神社など)
ファミリー層来訪者:子ども向けのエンタメ施設や子ども用品店への来訪傾向があるユーザー群に対して配信
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配信エリアは首都圏(1都3県)に設定し、過去2年間における島根県来訪ユーザーを除外し、新規誘客にフォーカスする設計としました。
広告配信は令和6年11月末から翌年3月までの約4カ月間実施。複数媒体を活用し、より来訪効果が高い媒体の配信割合を高くすることで、クリック単価を抑えつつ、興味・関心層へのアプローチが実現でき、来訪単価を抑えながら効率的に来訪を獲得する良好な結果となりました。
<来訪者の行動傾向を確認>
実際に島根県を訪れた方々のスポット別来訪データを分析したところ、出雲大社や松江城を中心に、出雲縁結び空港、松江駅、玉造温泉街、古代出雲歴史博物館など、歴史・文化・温泉といった観光資源への来訪が多い傾向が見られました。
特に、広告配信時に設定した2つのターゲットである「観光地来訪者」と「ファミリー向け施設来訪者」を比較すると、「ファミリー向け施設来訪者」の方が松江城や玉造温泉街、古代出雲歴史博物館などへの来訪割合が高いことが明らかに。
ターゲットの関心領域によって、実際の行動にも明確な違いが表れていることが確認できました。

広告接触者へのアンケートを実施 複数訴求要素への接触で認知・来訪意向が向上
本事業では、広告配信による態度変容を把握するため、人流データとアンケート調査を組み合わせた分析を実施しました。
<キャッチフレーズ認知率:広告接触者で60%超>
「ご縁の国しまね」「美肌県しまね」の認知(主要KPI)について調査した結果、広告非接触者では認知率が低かったのに対し、広告接触者では60%を超える高い認知率となりました。

さらに、4種類のクリエイティブ(歴史・文化、温泉、自然、グルメ)について、接触数別に分析したところ、複数のクリエイティブに接触した人ほど認知率が高まるという傾向が明確に確認されました。1種類のみの接触では認知率が低く、複数接触による情報浸透の重要性が示される結果となりました。

<来訪意向:複合接触で大幅に向上>
広告接触者に対して今後の来訪意向を調査した結果、やはり複数の訴求要素に接触した人ほど、来訪意向が高い傾向が確認されました。

INTERVIEW
「ご縁も、美肌も、しまねから。」をデータで進化 分析で見えた、魅力発信の新たなヒント
島根県 商工労働部 観光振興課 佐伯 剛様、峯谷 斐芽様
- ——島根県の魅力について教えてください。
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峯谷様:
- ――今回の取り組みを始められた背景や目的について教えてください。
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佐伯様:
- ――unerryを選んでいただいた理由、特に人流データへの期待について教えてください。
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佐伯様:
- ――今回の取り組みについて、率直な感想をお聞かせください。
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佐伯様:
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峯谷様:
- ――今回得られた結果は、どのように活用されていますか?
-
峯谷様:
-
佐伯様:
- ――今後の展開について教えてください。
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峯谷様:
-
佐伯様:
島根県は東西に長い地形が特徴で、海・山・離島といった多様な自然に恵まれています。日本海に面した地域や中国山地の山あい、隠岐諸島など、それぞれのエリアに個性があり、自然景観の豊かさが魅力です。
豊かな自然は、食文化にもつながっています。日本海の新鮮な海の幸、日本三大そばの一つとして有名な出雲そば、島根のブランド米である仁多米など、四季折々の恵みを味わえるグルメも島根の大きな魅力です。地元のグルメを楽しみながら、地域ならではの風景や歴史・文化スポットを巡るのも島根らしさだと思います。
また、神話の時代から語り継がれる出雲大社、国宝の松江城、世界遺産の石見銀山など、歴史や文化を感じられる場所が多いのも特徴です。こうした背景から、「ご縁の国しまね」としても親しまれています。
さらに、島根県は年間を通して湿度が高いという特徴があり、「美肌県しまね」として温泉を中心にPRしています。県内に約60カ所の温泉があり、美肌効果の高い湯をはじめ、心身をリラックスさせてくれる多様な温泉が各地にあります。
玉造温泉
そして、そんな島根県の多彩な魅力を象徴するキャッチフレーズが「ご縁も、美肌も、しまねから。」です。これからも多くの方に島根の魅力を知っていただけたら嬉しいです。
観光振興課には、県内外に島根県の魅力を発信していく役割があります。これまでもテレビ・雑誌等のメディアやSNSでの情報発信、ガイドブックの制作など各種媒体でPRを行ってきましたが、発信実績や効果計測のデータを収集・分析し、「どんな媒体で、どのように発信するのが効果的か」といった改善点を明確化し、次のアクションへつなげていくといったデータに基づくマーケティングの仕組みづくりが十分にできていませんでした。
そこで、民間企業のマーケティングノウハウを活用し、連携しながら戦略的な情報発信の仕組みを構築していきたいという思いから、本事業をスタートさせました
unerryさんは独自の人流データを保有しており、それを活用することで具体的なターゲット設定ができ、効率的かつ効果的な広告配信が期待できる点に魅力を感じていました。
また、広告配信を行ったターゲットの行動変容、つまり来訪計測が可能である点も大きなポイントでした。広告を配信した結果、実際にどれだけの方が島根県を訪れてくださったのかを可視化できる仕組みは、従来の手法では難しかったことです。
unerryさんの人流データに加え、アンケート調査も組み合わせて分析を行ったことで、広告接触者の行動変容や来訪意向を具体的に可視化することができました。
KPIとして「ご縁の国しまね」「美肌県しまね」の認知度向上を設定していましたが、その面でも良い結果を得ることができました。
また、訴求軸ごとの効果や、媒体・ターゲット別の傾向を整理することができました。今後のプロモーション設計に活かせる多くの示唆を得られたと感じています。
印象的だったのは、訴求要素として「歴史・文化」や「温泉」が効果的だという結果が明確に出たことです。これまでも何となく「人気がありそう」と感じていたものの、データとして裏付けが得られたことで、訴求要素とターゲットの親和性が高いことがはっきりわかりました。今後は確信を持って情報発信を進めていける要素になったと思います。
出雲そば
分析結果は観光振興課内で共有し、実際の情報発信に活かしています。
今回の取組で、訴求要素とターゲット設定の方向性が明確になり、今後の発信方針の指針を得ることができました。複数の訴求要素に接触した方が認知や来訪意向が高まるという結果も重要でした。さまざまな切り口で情報発信を行うことの大切さが、データで裏付けられたと感じています。
SNSでの投稿でも、たとえば「グルメ」は単体よりも他の要素と組み合わせることで効果を発揮しそうです。「お城を見て、そのあとに地元グルメを楽しむ」といった、体験を組み合わせた発信の方向性がイメージできるようになりました。
こうした知見は、情報発信だけでなく、コンテンツ制作や旅行商品の設計、メディアとのタイアップなど、さまざまな場面で活用できます。
島根県が訴求したい要素が媒体の読者や視聴者層に合っているかどうかを判断する材料としても役立てられると思います。
島根県が掲げている「ご縁も、美肌も、しまねから。」というキャッチフレーズのもと、“ご縁”や“美肌”といった魅力をより効果的なプロモーションで発信していきたいと考えています。
島根県に行こうか迷っている方にも、まだ島根を知らない方にも届くような情報発信をこれからも続けていけたらと思っています。
今回の取組を通じて、データを基に根拠を持って戦略的に進めていくことの重要性を改めて実感しました。
今後は、より詳細なカスタマージャーニーを描いたり、訴求要素やコンテンツの中身を一つひとつ検証したりと、データドリブンなマーケティングの仕組みを発展させていきたいと考えています。
また、県としての取り組みにとどまらず、今回得られた知見を地域の観光協会や事業者の方々とも共有し、県全体の観光振興につなげていくことを目指しています。
[取材日] 2025年10月27日 ※記載内容は取材当時のものです。
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