
オオゼキがこだわる地域密着&個店主義の経営をデータドリブンに。「ショッパーみえーる」導入で商圏理解をアップデート
株式会社オオゼキ
2025.07.07
KEYWORDS
- #ショッパーみえーる
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- #小売店
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- #来店分析

スーパーマーケット「オオゼキ」は、東京都を中心に42店舗(2025年5月時点)を展開しています。「自分の冷蔵庫代わりに使っていただく」ことを目指し、徒歩や自転車で気軽に立ち寄れる駅前立地を中心に出店してきました。
平均店舗面積は400~650㎡とコンパクトながら、たとえばしょう油だけで約80アイテムを揃えるなど、豊富な品揃えが特長です。「個店主義」に基づいた現場主導の接客スタイルや、目利き力を活かした生鮮食品の仕入れ、1品からの取り寄せ対応など、柔軟なサービスにより地域の多くのファンに支持されています。

<オオゼキ>
そんなオオゼキでは、「地域密着主義」「個店主義」をさらに深めるため、各店舗の特性や競合状況、そしてお客様の実像をより正確に捉える手段として、unerryが提供する商圏分析ダッシュボード「ショッパーみえーる」の“よくみえーるプラン”(店舗単位での分析プラン)を導入しました。
本記事では、「ショッパーみえーる」の活用でスーパーマーケットがどのような視点で顧客・商圏を分析できるのかを紹介するとともに、オオゼキが導入を決めた背景と、導入後に得られた変化についてお伝えします。
事例取材にご協力いただいたのは、株式会社オオゼキ 営業本部 課長 富田力樹様と、課長代理 中川謙介様です。
● 商圏分析ダッシュボード「ショッパーみえーる」で真の競合を発見し、自社の強み弱みを把握
● 販促施策において注力すべきエリアを特定。施策後の集客効果もモニタリング
● 「個店主義」を担う各店舗の店長自らが分析 感覚頼りでなくデータを共通言語にして組織の一体感が生まれた
小売チェーンの店舗・商圏理解を深める、「ショッパーみえーる」3つの使い方
unerryの「ショッパーみえーる」は、リアル行動ビッグデータプラットフォーム「Beacon Bank」に蓄積された人流データをもとに、来店者の人数や属性、商圏を可視化するダッシュボードサービスです。
全国約4.6万店舗のスーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンターの3業態の中からご契約地域・業態の店舗を自由に検索。日々の来店人数推移や、地域におけるシェア獲得率、曜日時間帯における集客力の強み・弱み、来店者の行動特性などを一瞬で分析できます。
◾️小売チェーンにおける「ショッパーみえーる」活用シーン
「ショッパーみえーる」は小売企業やメーカー企業など、さまざまな企業様にご導入いただいています。ここでは、特に個店ごとの分析に力を入れる小売チェーンにおすすめしたい“よくみえーるプラン” 3つの活用シーンをご紹介します。
① 競合や地域の人気店舗を見定める<競合分析>
任意の店舗を中心とした周辺エリアにおける各店舗の集客人数規模を「地域シェア」という形で一目で把握することができます。下図では、各店舗位置に表示される円の大きさが各店舗のシェア率を示しており、円が大きいほどそのエリアでの集客力が高いことを意味します。
たとえば、中央の青い円を自社店舗(任意選択)とした場合、周囲の他店との相対的なシェアを立地と合わせて視覚的に比較できます。商圏(エリア)や期間、業態は自由に設定できるため、自社にとって最適な条件での競合分析が実現します。
② 曜日・時間帯別に“強い瞬間”を探る<競合比較の深掘り>
競合店が見えてきたら、次は曜日や時間帯ごとの動向を掘り下げて分析していきます。
下の図では、店舗ごとの「曜日・時間帯別シェア率」を表示しています。
たとえば、A店は平日に強く、特に火曜日の集客力が高い一方で、B店は土日の来店が目立つ──そんな差異から、近隣の生活者がどのように使い分けているのかが見えてきます。
この情報を活用すれば、「営業時間を延長してみる」「曜日限定の特売を企画する」など、具体的な施策を検討することが可能です。
また、実際に競合が強い時間帯に現地を視察し、どんな商品や客層が目立つのかを観察することも、自社店舗の改善につながります。
③ デジタル広告やチラシ施策の成果を可視化<効果検証>
施策の“打ちっぱなし”で終わらせないために。「ショッパーみえーる」では、町丁目ごとの集客状況をマップ上で可視化し、デジタル広告配信やチラシ施策の成果をエリア別に振り返ることができます。
下図では、「最も集客している店舗」の色に各町丁目が色分けされて表示されています(例:赤=競合A、青=競合B、緑=自店舗)。2023年4月と2024年2月の状況を比較すると、赤枠で示したエリアの色が変化しており、商圏内の競合状況が変わっていることが一目で分かります。
このように、特定エリアに広告・販促を実施したあと、「本当に集客効果があったのか?」を地図上で確認できるのも、「ショッパーみえーる」ならではの強みです。
「ショッパーみえーる」では、ポイントカードだけでは捉えきれない顧客行動や競合状況の変化も、人流データを活用して分析することが可能です。“誰が・いつ・どこから”来店しているのかを把握し、実際の購買行動と合わせて読み解くことで、より効果的な販促やエリア戦略の立案に活かすことができます。
INTERVIEW
感覚に頼った商圏把握からの脱却。店長がデータ感覚を獲得し強い「個店」の実現へ
株式会社オオゼキ 営業本部 課長 富田力樹様と、課長代理 中川謙介様
- ——営業本部のお仕事について教えてください。
-
富田様:
- ――「オオゼキ」の特長について教えてください。
- ――「ショッパーみえーる」導入前の課題について教えてください。
- ――導入のきっかけについて教えてください。
- ――具体的に「ショッパーみえーる」をどのようにお使いいただいていますか?
- ――「ショッパーみえーる」での分析を通じて、どんな発見や気づきがありましたか?
- ――導入後に感じた変化はありましたか?
- ――今後のデータ活用について、どのようにお考えですか?
営業に関わること全般を横断的に見ています。各店舗が行う販売・仕入れ以外の部分、たとえば販促の支援や社内の業務環境整備などを担当しています。人事部門は別にありますが、人に関する管理業務にも関わっており、社内の実務を幅広くカバーしています。
現場で強い専門性を持つ部門(バイヤーや接客)を、営業本部としてどう支援し、プラスオンの価値を提供できるかが私たちの役割です。
富田様:
「オオゼキ」の強みは、やはり生鮮です。バイヤーが毎朝市場に自分の足で通い、目で見て仕入れた商品をお店に並べています。鮮度ももちろん大事ですが、「旬のものを、いちばん良い状態でお届けする」ということに関しては、他のスーパーには負けない自信があります。
特に生鮮は“目利き”がすべて。教科書を読んでも身につかない、まさに職人技です。若い頃から市場で学び、実地で鍛えてこそ育つもの。「オオゼキ」には、そうした実力のあるバイヤーが各店舗に1人は必要となるため、新店を急激に増やすことが難しいという側面もあるくらいです。
中川様:
また、「オオゼキ」には「1品からのお取り寄せ」という取り組みもあります。お客様から「こんな商品が欲しい」とご要望いただければ、可能な限りどんな商品でも応じます。地域密着でお客様との関係性が築けるのは、こうした柔軟さがあるからこそだと思います。
富田様:
「最近この商品が売れているらしい」「あの建物ができて人の流れが変わったかもしれない」といったように、店舗では日々の肌感覚で状況を把握していました。ただ、それが実際に正しいのかを検証できるデータはなく、あくまで感覚に頼らざるを得ない状態でした。
店舗数が拡大し、若い店長も増えてきた今、感覚と実態にズレが生じる可能性もあるのではと感じていました。また、経験豊富なベテラン店長の勘をもってしても、店舗の外の情報までは把握することが難しいものです。より客観的に商圏を捉えられる手段が必要だと考えるようになりました。
中川様:
以前からポイントカードを導入していたので、年代や性別、住所といった情報はある程度把握できていましたが、対象はあくまでカードを使っていただいた方に限られていました。
商圏分析に使っていた住所データも、ご登録内容が古かったり正確でなかったりと、精度に限界がありました。加えて、そうした分析にはマクロを組むなど一定の専門スキルと手間が必要で、簡単に誰でも扱えるものではなかった。結果として、「ちょっと調べてみよう」という感覚で頼みにくく、活用の幅が限られてしまっていました。

<左:富田様 右:中川様>
富田様:
「ショッパーみえーる」を導入する前から、位置情報を活用したデジタル販促施策(Beacon Bank AD)をご一緒していて、そこで「データでこんなに効果が見えるんだ」と実感できたのが大きかったですね。unerryのデータなら、課題となっていた商圏分析にもきっと役立つだろうと、期待感を持ちました。
富田様:
現在はトライアル中なのですが、全店舗を4エリアに分け、各エリアに1人ずつ代表店長を立てて活用を進めています。
操作自体は難しくないのですが、「どこを見るべきか」「どう読み解くか」には少しコツがいるので、代表店長たちがエキスパートになって現場に展開していく体制を整えています。最終的には「1店舗1店長が使いこなす」状態を目指していて、今はそのための育成フェーズです。
月1回、unerryの担当者にも同席してもらいながら勉強会を開催し、得られた気づきを報告し合っています。
中川様:
一番驚いたのは、想定していた競合と実際の競合が違ったことです。とある店舗では「A社が一番の競合だ」と思い込んでいたのですが、データを見てみると、実はB社のほうが近隣住民にとって強力な選択肢だった。“足元”がちゃんと見えていなかったんだなと反省しました。
富田様:
店長によっては競合店の様子を見に行くこともありますが、あくまで偵察レベルでした。データを通して“調査”としての視点が持てるようになったのは大きいですね。
また、「ショッパーみえーる」は地図で分析できるので、エリアを俯瞰して見ることができます。競合との距離感だけでなく、たとえば周辺に保育園があることが見えて、「だからこの店舗は子連れのお客様が多いのか」といった地域の空気感や生活動線まで想像できるようになったのはおもしろいです。
富田様:
本格的にデータを使って分析を行うのは今回が初めてだったこともあり、最初の勉強会では「えっ、そうだったの!?」という声が多く上がりました。これまで感覚では捉えきれなかったズレが、数値として可視化されたのは大きな発見でしたね。
以前から「弱いかもしれない」と感じていた部分に対して施策を打つことはしていましたが、課題とアクションのつながりが、ぼんやりしたまま進めていたところもあったと思います。いまは、仮説や狙いが明確になり、「空振りせずに打てる」感覚があります。
中川様:
現在は月に1回、各店の店長が集まり、「こんな見方ができるよ」と分析結果やノウハウを報告し合う場にもなっています。これまでオオゼキにはなかった文化なので、現場が確実に動き出していると感じます。
オオゼキでは「個店主義」を大切にしているので、店長一人ひとりの力がとても重要です。これまでは、各店長が独学で試行錯誤するスタイルでしたが、今は「同じツールを使って、共通の視点で話ができる」ことで、組織としての一体感も生まれています。
販促施策の立案時にも変化が出てきました。「弱いエリアをカバーするのか」「強いエリアをさらに伸ばすのか」あるいは、「1年以内に競合店の出店が予想されるから、今のうちにこのエリアを育てておこう」といった、より戦略的な判断ができるようになっています。
これからの時代、現場の“肌感覚”に加えて“データ感覚”も持ち合わせることが必要になってくると思います。そうした意味でも、「ショッパーみえーる」は店長の意思決定を支える強力なツールになると感じています。
富田様:
紙のチラシを減らす動きもある中で、若い世代に向けた販促をどうしていくかは大きなテーマです。そのための投資や新たな取り組みにも挑戦していきたいと思います。
中川様:
unerryさんには、販促の「出口」部分でも支援をしていただいています。今後は商圏分析と販促を組み合わせながら、より戦略的にお客様にアプローチしていけるようにしていきたいですね。
[取材日] 2025年4月15日 ※記載内容は取材当時のものです。
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