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メイドインTBSのライブエンタメを世界へ! 劇場の特徴を可視化 & コンテンツ × 位置情報でCTR3%超えのSNS広告

メイドインTBSのライブエンタメを世界へ! 劇場の特徴を可視化 & コンテンツ × 位置情報でCTR3%超えのSNS広告

株式会社TBSテレビ

2022.04.08

KEYWORDS

  • #SNS広告
  • #エリア分析
  • #リアルタイムプッシュ配信
  • #商業施設
  • #行動DNA
tbs_logo

開局70周年を迎えたTBSは、世間の話題をさらう人気ドラマなど、テレビ放送を中心に、人々の記憶に残るエンタテインメントを届けてきました。ライフスタイルの多様化やメディア環境が大きく変貌した今、グループ全体としてメディアグループからコンテンツグループへの変革を目指しています。そして、今夏世界中で大ヒットを記録しているTBS開局70周年記念 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』がアジア初上陸し、赤坂の街が大きく変貌していくビックプロジェクトにTBSは挑んでいます。

TBSが放送だけではなく、生活者のあらゆる時間にコンテンツを届けるためのリアルエンタメプラットフォームとしているのが「TBS赤坂ACTシアター」と「IHIステージアラウンド東京」という2つのライブエンタテインメント劇場です。

本記事では、「場所」と「コンテンツ」によってエンタテインメントの価値を最大化させるために行なった、2つの劇場を軸に据えた分析と広告施策をご紹介します。

取材にご協力いただいたのは、株式会社TBSテレビ ライブエンタテインメント局 事業部の 明 大貴様です。

<この記事のポイント>
● 赤坂の街と「TBS」が運営する2劇場を訪れる人の行動をビッグデータで解析
● デジタル集客はコンテンツと、“ファンを見つける”位置情報ターゲティングの相乗効果で好結果
● ファン度にあわせてテレビCM、TVer、位置情報広告を使い分け

訪れる人々の行動を可視化 「街」と「劇場」の特徴が浮かび上がる

本拠地赤坂においてTBSグループは、“赤坂エンタテインメント・シティ計画”を推進中です。その計画の一つとして「TBS赤坂ACTシアター」は2022年7月に世界中で大ヒットを記録している、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』をアジア初上陸させるため、ロングラン上演ができる劇場として生まれ変わります。

開幕を控える中、「赤坂」はどのような特徴をもった街であるのかを、unerryのリアル行動ビッグデータをもとに分析。街を訪れる人々の、デモグラフィック情報や普段の行動傾向を偏差値で示す「行動DNA」、同日立ち寄りをヒートマップで示しました。

リアル行動データ分析・可視化(「赤坂」分析)

分析した期間中「赤坂」には様々な年代の方が訪れました。比較的女性が多く、グルメ志向の高い人が集まるエリアとして傾向が現れました。「TBS赤坂ACTシアター」などでエンタテインメントを楽しんだ後に、お食事しながら感想を話し合う人の流れが想像できます。

TBSが運営する2劇場の分析では、よりデータ精度を高めるため「TBS赤坂ACTシアター」と「IHIステージアラウンド東京(豊洲)」にビーコンを設置しました。

TBS赤坂ACTシアター(左),IHIステージアラウンド東京

劇場来訪者の特徴を比較すると、訪れる年齢層に大きな差があった一方で「行動DNA」分析では、エリアが離れている割に「グルメ好き」など、全般的に類似している結果に。コンテンツへの熱量で街へ足を運ぶ人たちの行動特性に共通項を見つけることができました。

リアル行動データ分析・可視化(「劇場」分析)

TBSは舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の赤坂誘致においても、観劇前後で仲間と食事を楽しみながら語り合える場を提供するなど、どっぷりその世界観に浸れるテーマパークのような空間づくりに取り組んでいますが、来街者や劇場来訪者の共通項を見出し、そのポイントに訴求することで、遠方からも幅広い世代での集客を実現できる可能性を見出しました。

※本施策においては名前や電話番号など、個人を特定できる情報は一切取得・使用しておりません。

 

「恐竜ファン」への配信でCTR3%超えの好結果

「IHIステージアラウンド東京」は回転する円形の観客席を中心に、360度で展開されるステージが魅力の劇場。2021年10月末から開催されたのは、恐竜型メカニカルスーツを駆使し、まるで目の前に生きた恐竜がいるかのような没入体験ができる「ディノアライブ」でした。

ディノアライブ

「ディノアライブ」広告クリエイティブ

今回行った集客施策では、unerryのリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」のデータから過去に恐竜関連のイベントや博物館を訪れた方など、来場可能性が高いと思われる“恐竜好き”な方や、「IHIステージアラウンド東京」に来訪経験がある方を発見し、SNS広告やプッシュ配信を行いました。(「Beacon Bank AD」)

複数媒体で比較すると、オンライン上でのクリック率は特にFacebookが好調で3%を超えるほどでした。また、プッシュ広告は、劇場がある豊洲駅周辺にて行ったところ約5%というunerryの過去実績と比較しても非常に高いタップ率でした。「恐竜」を活かしたクリエイティブの面白さとリアル行動データを活用したターゲティングが相乗効果を発揮した例と言えます。

INTERVIEW

赤坂をメイドインTBSのエンタテインメント発信地へ

株式会社TBSテレビ ライブエンタテインメント局 事業部 明 大貴様

――ライブエンタテインメントをテレビ局が手掛けることについて、どんな想いをお持ちでしょうか?

TBSはご存じの通り、放送局として開局から約70年間、放送事業を通してその時代の文化を発信し続けてきました。昨年「デジタル分野」「海外市場」「エクスペリエンス(ライブ&ライフスタイルなど体験するリアル事業)」を成長領域の柱とするEDGE戦略を中核としたVISION2030を発表し、放送事業を軸としながらも放送外収益を拡大させるべく事業戦略を打ち出しています。

私の在籍する事業部では、まさにVISION2030に直面し、ライブエンタメを拡張していくフェーズに突入しています。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』のように赤坂の街を挙げて初めてロングラン事業に挑戦していくことを始め、舞台・演劇・ミュージカル・歌舞伎・2.5次元・バレエ・展覧会…と多種多様なライブエンタメに挑戦しています。

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』

また、TBSテレビの事業の根幹でもあり、TBSテレビが強みとするひとつひとつの番組については、放送が終了してからもコンテンツが愛され続けられるよう番組派生の新規事業にも積極的に挑戦しています。番組制作のクリエイターたちの熱量をライブエンタメに昇華させ、TBSオリジナルコンテンツ=IPを生み出せるよう”エンタメデベロッパー”(自分の中ではこのように捉えています)として新規事業への挑戦に日々奮闘しております。

私はテレビ営業にてビジネス経験が長かったのですが、現在は事業部でモノづくりの熱量を体感しています。劇場を中心とするライブエンタメ制作とテレビ制作という違いこそありますが、コンテンツの作り方、熱量は本質的に通じるところがあると思っています。

劇場のプロデュースを行うことは今後“エンタメデベロッパー”を目指していく私たちにとって大きな意味があります。劇場が変われば街を訪れる構成要素も変わり、劇場を中心にした空間プロデュースを行っていくことで、街を挙げてコンテンツのファンを作っていけると考えるからです。番組が終わった後も長くお客さまに愛され続けるコンテンツを作ることは、ビジネスとしても中長期的に価値を高められると信じています。

――分析レポートから得られたのは、どんなことでしょうか?

実際に来場者の属性をデータで可視化できたことは大きいです。

赤坂エンタメシティ 西棟外装スケッチ

赤坂エンタメシティ 西棟外装スケッチ

お客さまにエンタテインメントを楽しんで頂くことは、私たち作り手・クリエイターの使命であると考えていますが、従来、来場者の属性を知ることはどうしても個人の肌感覚に頼るものでした。

街や劇場に訪れる人は、どこから来て、その後はどんな場所にいくのか。普段はどんな街で過ごし、どんなことに興味がある方々なのか。

お客さまの理解を深めることで、一方通行ではないコミュニケーションを目指すことができます。一人でも多くの方にご来場いただき、そしてファンになって帰っていただけるようなコンテンツ誘致や演目の提供、プロモーション施策を劇場を通して行なっていきたいです。

また、演目にご協賛頂くスポンサー企業へのご案内も重要な仕事です。今回のようにデータとして劇場の持つ特徴を可視化できるようになったことで、広告主の方々にも納得感をもってご出稿いただくための説明材料にできると思っています。

――広告の結果については、いかがでしたか?また、マスメディアとの使い分けなどで気づきはありましたか?

位置情報データを組み合わせた広告配信は、過去の施策と比較しても非常に効率のよい結果を得られています。正直、「こんなに効果があったのか!」と驚きました。

実際の来場に繋がっているかを計測できるのもポイントで、今後、そういったプロモーションは増えていくのではないかと思います。

赤坂エンタメシティ 東棟外装スケッチ

赤坂エンタメシティ 東棟外装スケッチ

TBSテレビは放送局なので、テレビ局の持つアセットとして、テレビCMや番組内での紹介を通してマスに認知してもらえることは手前味噌にはなりますが、私たちしかできない強みであると認識しております。

また、TVerやParaviを始めとする配信事業でもコンテンツを通してコミュニケーションしていくことはコンテンツホルダーである私たちにしかできない手法だと思います。

それぞれに良さはあると思いますが、広く認知を獲得できるマスメディア、コンテンツを通したファンとのコミュニケーション、そして位置情報広告で既存ファンや潜在ファンに対してプロモーションできるunerryさんとの施策を組み合わせたことで、劇場までお越し頂くまでのコミュニケーションが一連の流れで図れたと思っています。

――今後、チャレンジしてみたいことを教えてください。

TBSテレビの劇場から日々様々なエンタテインメントを発信させて頂いております。しかし、集客はコンテンツ自体が持つパワーに依存してしまいがちです。そうではなく「TBSがプロデュースする劇場だから…」というモチベーションで年に何度もご来場いただけるよう、劇場からのコミュニケーションを通して、劇場にファンが定着してくれる未来を目指したいと思います。

そして、日本のエンタメコンテンツにはまだまだ可能性が眠っていると思います。TBSのクリエイターを始め、日本を代表するクリエイターの大きな熱量をライブエンタメとして昇華させ、コンテンツの持つ価値を最大化させたいと思います。その結果、赤坂という街を海外から注目されるメイドインTBSのエンタメ発信地にできればと思っています。

赤坂エンタメシティ 外観パース案

赤坂エンタメシティ 外観パース案

[取材日] 2022年3月23日 ※内容は取材当時のものです。



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