
unerry テクノロジー&オペレーション部 プロダクトエンジニアリングチーム は、Beacon Bankをはじめとした位置情報に関連するさまざまなプロダクトの開発を一気通貫に行う、プロフェッショナルが集う精鋭集団。技術スタックは、iOS/Androidアプリ、フロントエンド、バックエンド、データエンジニアリング、SRE、クラウドインフラと幅広く、既存の概念にとらわれず新しい技術にチャレンジし続けるエンジニアたちが、多くの不可能を可能としてきました。
今回は2024年秋に入社し、Beacon Bank SDK の 担当として活躍する濱田さんに、研究者からエンジニアへの転身などの過去を振り返り、将来への展望についてインタビューに答えてもらいます。
登場人物
株式会社unerry テクノロジー&オペレーション部 プロダクトエンジニアリングチーム 濱田 尚宏(はまだ なおひろ)

入社日:2024年9月
最近の推し:柴田是真の漆絵作品
会津大学大学院 コンピュータ理工学研究科 博士後期課程修了。デスクトップ向けアプリの開発に従事後、モバイルアプリの領域に移る。VODアプリ、エンタメアプリや企業向けの会員証アプリなどの開発に従事。テックベンチャー企業を数社経て、unerryに入社。現在は、Beacon Bank SDKの開発に従事。iOS向けSDKを中心に、Android向けSDKの開発も行っている。
<聞き手>株式会社unerry CTO 伊藤 清香(いとう さやか)

入社日:2018年2月
最近の推し:ピェンロー鍋
ガラケーからスマホまで20年以上モバイルWebシステムを開発し、高負荷対策をノリと勘で支えた縁の下の力持ち。人生の節目にあたり、これからはIoTで人々の生活を便利にしようと考えて、当時10人位だったunerryへJoin。会社の成長とともに湯水のように湧き出る課題を解決し、働きやすい職場環境を作ることを生きがいとしている。趣味はサッカー観戦と音声制御技術。
伊藤:
本日はお忙しい中、ありがとうございます。
今回はシニアエンジニアへのインタビューということで、Beacon Bank チームのiOSエンジニア濱田さんに、これまでのキャリアやunerryでのご経験についていろいろお聞きしようと思います。
シニアiOSエンジニア濱田の、とある日
伊藤:
まずは濱田さんの基本情報ということで、1日の過ごし方について教えてください。
濱田:
平日で出社日だとこんな感じです。

趣味の勉強については、あまりエンジニアリングとは関係なく、中国の甲骨文字という古代漢字の成り立ちとか、美術史とか、いわゆる教養といわれるものが多いです。

伊藤:
アカデミック!!

研究の道からエンジニアにキャリアチェンジした理由
伊藤:
濱田さんは会津大学大学院 コンピュータ理工学研究科 博士後期課程を修了され、LSI設計の研究者としてのキャリアを歩まれていたそうですが、ソフトウェアエンジニアに転身されましたね。きっかけは何だったのでしょうか?
濱田:
大学院を修了した後、1年ほど研究職として活動していました。応用研究を進める中で指導教官から、「良い研究をするには、その技術が実際に世の中でどう使われているのかを知る必要がある」というアドバイスをいただいて、近い分野の「プロダクト作り」を実際に見てみようと思い、エンジニアとして就職しました。初めての就職は2013年頃でしたね。
伊藤:
プログラミングはどのように習得されたのでしょうか?
濱田:
最初はN88-BASICで写経プログラミングをしていましたが、そのうちに「コンピューターを使って何か作りたい」と思うようになりました。Windows95が出た後くらいに実家でパソコンを購入したのですが、なぜかそれにFreeBSDをいれてC言語の勉強を始めました。
伊藤:
ええ、、なぜいきなりFreeBSDを?!いろいろツッコみたいところはありますが続けてください。
濱田:
実は、プログラミングを始めた頃は「何が何だか分からない」状態からのスタートでした。一番最初の挫折は初日です。「Hello World」すら動かせなかったんですよ。当時有名だったC言語の本の、サンプルコード通りに書いたのに、コンパイラに怒られてしまいました。
▼問題のサンプルコード▼
{
printf(“hello world\n”);
}
このサンプルコード、include文が省略されているんですよ。
伊藤:
ほんとだ! 最初からいきなりそんなトラップが(笑)
濱田:
はい。経験者だったら言わずもがなでわかるところですが、こちらは初心者ですから、あまりにもわからな過ぎて、逆に「なんだこれ?」という好奇心が湧いて、徹底的に調べ始めました。
それ以来、わからないことが出てきた時に、自分が納得するまで調べる、というのが私の学習スタイルになりました。
不明な部分をブラックボックスのまま繋ぎ合わせるのではなく、その原理を一つ一つ理解していくことの重要性を感じており、これを続けていくうちに少しずつ繋がりが見えてきて、最終的に「分かった!」となるんです。この「わからないことを無くす」という活動が、今の私の最初の武器になったと感じています。
unerryのコア、「Beacon Bank SDK」の開発を担当
濱田:
「Beacon Bank SDK」の開発を担当しています。このSDKは、unerryが創業当初から開発を続けているコアのシステムで、iBeacon や 位置情報と連動した機能を、さまざまな企業のモバイルアプリに提供しています。提供先アプリ数は150個以上あります。言い換えると、一つのユースケースに限定されず多様なユースケースで使われています。
自分の役割は、iBeacon 電波の捕捉率改善のためのOS機能の調査や改善、バッテリー消費の削減といったコア部分の改善と、新しい便利な機能の追加です。
多様な利用シーンにおいて、つねにユーザーが快適に使えるようにすること、ビジネス要件を満たすだけでなく、ユーザーが「嬉しい」「便利だ」と感じる、滑らかな使い心地を実現することにやりがいを感じています。
「Beacon Bank」の次世代戦略を形作る、研究者マインド
伊藤:
濱田さんは入社後に「Beacon Bank SDK」のコードを細かく解析し、改善案をまとめた100ページ以上のレポートを提出されましたね。この内容があまりに深かったので、経営会議でも話題になりました。
その提言を元に「Beacon Bank」の次世代戦略の骨子が決まり、濱田さんは自ら先陣を切ってその開発にたずさわって、バージョンアップの第一弾を終えたところ。このあとも世界一となるための魅力的な機能追加のロードマップが控えていますね。
この点について一言コメントいただけますか?
濱田:
不可能と思われるような深いテーマがあったとして、最初に「できない」と感じたものは、その逆に必ず実現できると思っています。
なぜならそれは「できない」理由がまだ明確になっていないときの感想だからです。思考停止せずにあらゆる可能性を検討すると、解決策が見つかるものです。それを証明することが自分の仕事の醍醐味ですね。
また、質の高いアウトプットを出すためには、インプットを多くする事も心がけています。アウトプット2に対してインプットは10は必要かと。徹底的に調べていくと、絶対に無理だと思ったことも、解決の糸口が見つかると思っています。
伊藤:
そのあたりは研究者としてのふるまいと似ている点があるのかもしれませんね。
入社3ヶ月後の自分の姿を徹底的に考える「100日プラン」
伊藤:
unerryへの転職を決めたきっかけについて教えてください。
濱田:
位置情報を活用したサービス開発に興味があったのですが、unerryへの入社を決めた最大の理由は、単体のアプリケーション開発ではなく、様々なアプリに組み込める「基盤(SDK)」を開発できる点です。SDKは多岐にわたる企業のアプリに提供されるため、幅広いユースケースに触れることができます。それらをどのように活用していくか、ユーザーが快適に利用できるかを追求できる点に魅力を感じました。
伊藤:
unerryには入社時に「最初の3ヶ月間で達成すべき目標を自ら設計し、行動する」という「100日プラン」の作成を行います。
濱田さんの「100日プラン」はどのような点を重視しましたか?
濱田:
入社時の目標設定から始まり、月末ごとにマネージャーの山口さんとの1on1で振り返りを行い、必要に応じて修正を加えていくという形で運用していきました。特に①エンジニアとしての成長 ②組織への適応 ③具体的な業務目標の達成 の3点に重点を置きました。
このプランは、エンジニアとしての成長だけでなく、組織に馴染むための入り口としても機能しました。定型化されていない突発的な問題が多く発生する中で、自分の考えを伝えたり、時には「これ以上は難しい」と相談したりしなければ、業務は進みません。そこで「こういうことをやっていきましょう」という目線合わせや、具体的な業務に向けた準備を整理するためのツールとして非常に役立ちました。
伊藤:
日々の業務において、コミュニケーションの重要性についてはどうお考えですか?
濱田:
コミュニケーションは100%重要です。特に、定型化された仕事から外れるような突発的な問題が発生した場合、自身の意図や能力の限界を伝え、相談し、業務調整を行うためには、密なコミュニケーションが不可欠です。これにより、チーム全体で効率的に問題解決やプロジェクト推進が可能になりますからね。
「面接官 濱田尚宏」が、よく質問すること
伊藤:
濱田さんは、「Beacon Bank」開発チームの拡大のため採用面接にも携わっていますね。面接の際によく聞く質問はありますか?
濱田:
たとえば、Androidエンジニアの採用の場合、基本的な質問として、Androidのライフサイクルについて理解しているかを確認しています。また、アーキテクチャや技術選定の経験がある応募者には、データの保存方法やその判断基準などについて質問しますね。
伊藤:
スキルレベルを確かめるわけですね。候補者の技術レベルによっては、答えられない場合もあると思うのですが、その時はどう捉えますか?
濱田:
答えの正しさよりも思考プロセスを重視しています。知識は後で覚えることができます。なので、どういうふうに答えを出したのか、という考えの道筋を説明できるかどうかが大事かなと思っています。
また、unerryではアプリケーションの直接開発よりもSDK開発を中心にサービス改善・アップデートに取り組む機会が多いので、多様なユースケースを想定した柔軟な思考が重要であり、単にアプリケーションを作りたいという動機だけでは難しい場合がありますね。
伊藤:
SDKは導入先のアプリによっていろんな味付けをして使われるので、バランスよく俯瞰したものの見方ができそうか、は大事ですね。
「世界を狙う」、高度な技術開発に挑戦
伊藤:
将来について、どのような展望をお持ちですか?
濱田:
現在はモバイル SDKの開発ですが、そちらも深堀しつつ、バックエンドの知識も増やしていきたいです。位置情報技術の分野で「世界を狙っていく」という意気込みで、より高度な技術開発に挑戦していきたいですね。
伊藤:
我々をとりまくAIの進化については、どのように考えてますか?
濱田:
AIにおける学習データの「クリーンさ」、つまり権利が保護されているかどうかが非常に重要だと考えています。具体的には、「これは学習するデータに入れてはいけない」というデータから学習していないなど、権利が守られていることです。権利のクリーンさが担保されていれば、その後の活用方法は使う側の話になると思います。
ビジネス面では、AIの進化に伴い新しいユースケースが生まれるはずなので、「Beacon Bank」にそれを取り込んで、さらに進化していきたいです。
伊藤:
ユースケースに注目する濱田さんらしいお考えですね。
未来の仲間へのメッセージ
伊藤:
最後に、この記事を読んでいる次の仲間になるかもしれない方へ、メッセージをお願いできますか?
濱田:
位置情報やビーコン技術、SDK開発を通じてユーザー体験やデベロッパー体験を向上させたい人にunerryに来てほしいです。
1つは、SDKを組み込んだアプリのユーザー体験を追求したい方。もう1つは、位置情報サービス(GPS、ビーコンなど)を深く掘り下げたい方です。
「わからない事をなくす」という活動を大切にする方に、ぜひチームに加わって欲しいです。世界一を目指して、一緒に新しい挑戦をしていきましょう。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます
unerry プラットフォームグループ シニアバイスプレジデント 山口からのメッセージ

山口結樹
濱田さんは「やりたいこと(Will)」「できること(Can)」「それらを発揮・支援する環境(Unite)」が見事にかみ合い、入社直後から高いレベルで成果を出してくださっている頼もしい存在です。
インタビュー中にあった “「できない」は、できない理由がまだ明確になっていないときの感想” という言葉には、私も強く共感します。そして同時に、ある要件を実現する際には「要件は絶対ではない」という考え方も大切だと思っています。
特に高い目標や新しい挑戦に取り組むときは、要件を決める人と実現する人が、どれだけ高い次元で「Will」と「Can」をすり合わせられるかが、最強のアウトプットを生み出す鍵だと信じています。
濱田さんは「活用の幅を広げ、ユーザー体験を追求する Will」と「多様な選択肢を提示し、実現可能性を証明する Can」を高いレベルで両立し、実現を決してあきらめない姿勢を常に見せてくれます。その姿勢に「周囲の仲間が共感 Unite」し、要件がブラッシュアップされていくことで、当初よりも高い水準に着地したり、妥協に見える「現実解」的な仕様が削ぎ落とされたりと、競争優位性を持ったアウトプットが生まれています。
さらに、「Beacon Bank」自体が事業として成長を続けているプラットフォームであることも、成果への実感や達成感を得やすい環境をつくり、濱田さんのあきらめずにやり抜く姿勢を後押ししているのではないでしょうか。
エンジニアの皆さんには、これからも最強のアウトプットと事業成長の好循環を期待しています。そして、濱田さんのインタビュー記事に少しでも共感できた方は、ぜひunerryの仲間となって、共に最強を目指していきましょう。
unerryは、今日もエンジニア積極採用中です
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