こんにちは。unerry ビーコンソムリエの金井です。
本記事では、位置情報マーケティングに欠かせない「ビーコン」(Beacon)について解説します。
「ビーコン」の仕組みや活用方法、GPSやW-iFiといった他の位置測位技術との違いもお伝えすることで、マーケティング活動における「ビーコン」活用の可能性を感じていただきたいと思います。
(こちらは位置情報マーケティングを生業とするunerryのブログのため、unerryの紹介も交えながら説明させていただきました。)
忙しい人のために要点を最初にまとめておきますが、是非最後まで読んでいただけると嬉しいです。
■忙しい人のための「ビーコン(iBeaconの場合)」まとめ
ビーコンとは、「Bluetooth Low Energy(BLE:低電力消費・低コストのBluetooth規格)」を利用した位置計測の技術、もしくはその技術を利用するための小さな端末です。一定間隔で端末固有のID情報を電波にのせて「発信」し続けています。
電波圏内に入ったスマートフォンアプリと反応することで、ユーザー(スマートフォン)がその場に来訪したことを検知できるため、来店計測や情報配信などによく用いられます。
GPSでは捉えにくい「地下」や「商業施設内のテナント」への来訪なども検知でき、より精度の高い来店計測手法の1つとして注目されています。
※キャッチしたビーコン反応ログをマーケティング活用するにはアプリユーザーの許諾が必要となります。
INDEX
■ビーコンとは? 広義のビーコンは意外と種類がある
種類豊富なビーコン
「ビーコン」とは、もともと「狼煙(のろし)」や「篝火(かがりび)」の意味を持つ単語で、広くは、シグナルを発する装置の総称と言えます。
そのため、実は「ビーコン」といっても、高速道路に設置され交通情報を提供してくれるビーコンや、雪山で万が一の時に役立つ雪崩ビーコン、サイトに埋め込むWebマーケティングのためのウェブビーコン、さらにゲームのお役立ちアイテムとしても、「ビーコン」が登場するなど、想起されるところは広範囲かと思います。
本記事ではその中でも、「位置情報マーケティング」のためのビーコン活用について解説していきます。
なお、ビーコンの主な通信規格についてはAppleが提供する「iBeacon」、Googleの「Eddystone」、そしてLINEによる「LINE Beacon」といった種類がありますが、以降については最も汎用性の高い「iBeacon」の前提で紹介させていただきます。
※「LINE Beacon」については、認定パートナーとして設置をご支援しています。
■位置情報マーケティングにおける、ビーコンの仕組み
ビーコンは、「Bluetooth Low Energy(BLE)」による位置計測の技術または、その技術を利用した小さな端末です。店舗の入口や棚、レジの横などに設置し、通りかかる人の来訪を検知します。
その仕組みはとてもシンプル。
①ビーコンが発信する電波を
②スマホアプリがキャッチし、
③ログをサーバーに記録していく
というものです。
①ビーコン端末は、固有のID情報をBluetoothの無線電波に乗せて一定時間間隔で「発信」し続けています。また電波は同心円状に飛んでおり電波強度もおおよそ1〜100mの範囲で変更可能です。unerryではマーケティング要件や設置環境に応じて電波強度の調整を行っていきます。
※後述する来店計測や館内分析で用いる際は、電波範囲を5m〜40m程度にすることが多いです。
(通信はせず、目立たない場所から一方通行で発信し続けているだけです。けなげですね。)
②ビーコンが発した電波をキャッチするには、スマートフォンアプリが必要です。アプリインストール済のスマートフォンがビーコン電波の受信範囲内に入ると、アプリが反応。
③連携するサーバー(unerryの場合は「Beacon Bank」)にビーコンログが記録されます。
「Beacon Bank」では、各ビーコンの「場所情報(ID=12345のビーコンは、unerryデパートの地下通路に設置されています、といったイメージ)」を登録しているので、ビーコンログと「場所情報」を照らし合わせることで、どこにいるのか(EX.デパートの地下にいる)という情報を得ることができます。
「ビーコン端末が、付近のスマートフォンの個人情報を勝手に集めるのでは?」といった事もよく聞かれますが、そうした事は上述のとおりビーコンは一方通行で発信しているだけなので、ありません。
なお、ビーコンとスマートフォンを反応させるには、BluetoothがONになっている必要がありますし、その反応ログをマーケティング活用する際には、受信用アプリにおいて、目的を明示した上で位置情報の利用許諾をユーザー自身が許可しているといった条件も必要となってきます。
世界中でプライバシー保護の重要性は高まってきています。ぜひ、位置情報マーケティングのパートナー選定の際には、法律遵守はもちろん、業界基準に則っているか、そして各社の考え方などもポイントにしてみてください。
■位置情報マーケティングにおける、ビーコンの活用
ビーコンの活用用途は様々ですが、ここでは、マーケティングで主に活躍する「情報発信」と「施設分析」について解説します。
①情報発信〜プッシュ通知/SNSでの広告配信/効果検証〜
■プッシュ通知
ビーコン端末の電波受信範囲内に入ったユーザーのスマートフォンアプリに対して、リアルタイムの『この瞬間』を捉えた情報発信ができる「プッシュ通知」は、注目度の高い機能です。お店やイベント会場の近くなど、特定の場所にいる人に限定した“モーメント(瞬間)”を捉えた情報を届けることで、効率的な集客や購買促進を実現できます。
たとえば、unerryでご支援させていただいた、とあるファミリーレストランでは、午後のお客様が少ないティータイム、店舗近くのオフィス街にいる人に対して「Wi-Fiと電源ありますよ」という情報を「プッシュ通知」しました。その界隈にいるビジネスパーソンに食事訴求ではなく”働く場所”としての訴求を行うことで集客率は高い時には、配信対象者の10%という結果にもなりました。まさにモーメントを捉えた面白い事例と言えます。
情報の受け手側が自分自身で検索したり、アプリをチェックするなど能動的に手を動かさずとも、その場における嬉しい情報が自動的に送られてくる便利な仕組みのため見逃しがちな情報を得られる一方、お邪魔にならないよう、通知量やコンテクストに十分配慮した配信が送信側には求められます。
なお、unerryでは、全国に210万箇所のビーコンネットワークを有しているので、自社でビーコン端末を設置していなくても情報発信が可能です。詳しくは、「Beacon Bank AD」のページを是非ご覧ください。
■SNSでの広告配信
ビーコンを活用した情報発信手法は、リアルタイム性の高いプッシュ通知だけではありません。GPSのデータも組み合わせながら、過去の行動履歴から情報を届けたい人を発見しSNSを通じて広告配信することもできます。
蓄積されたビッグデータを分析することで、ターゲットに応じて様々なセグメント生成が可能です。特に、ビーコンはGPSがカバーしきれない「地下」や「階層のある建物」「テナントが集まる商業施設」などの位置測位もできるので、たとえば「地下通路を普段利用している人」「デパートのレストランフロアを訪れた人」といった広告配信用のグループも作れることが特徴です。
「過去に自社の店舗や施設に来たことがある人」だけでなく、類似の嗜好性を持つ人を探したり、自社商品や開催イベントに親和性のありそうな人へ配信することで効果的に新規のお客様へアピールすることができます。
■効果検証
プッシュ通知やSNSでの広告配信を行ったはいいものの、実際に来店に結びついているのか?それを知るための効果検証にもビーコンを活用しています。
店舗の入口や棚、レジ横など来店を検知したい場所に設置し、広告配信対象者のうち、どのくらいの方が実際に来店してくれたのかを計測することができます。ECなど、オンラインでは当たり前になっている広告効果の検証。リアルな場でも同様に検証可能となるのは、ビーコン活用の大きなメリットです。
②施設分析
特に商業施設の運営をご担当されている方にオススメなのが、ビーコンを活用した「施設内の館内分析」です。私、金井の本領発揮の分野でもございます。
施設内にビーコン端末を設置することでお客様はどの入口からご来店され、どんなルートでお買い物をされているのか。フロア間や店舗間をどのように回遊され相関があるのか、といった店内のお客様行動のパターンを分析することができます。
これまで見ることのできなかった、館内の顧客の動きを把握することで、接客やテナントリーシング、施設内の案内設置、クーポン配信やアプリ内のお知らせなど施策を組み立てるヒントになり、店舗誘導や購買促進に役立てることが可能です。
■ビーコンとGPS、Wi-Fi、通信基地局との違いは?
マニアックな話ですが、位置情報を活用する仕組みとしては、GPSやWi-Fi、通信基地局もあります。以下のような違いがあるので、参考にしてみてください。
①GPS
地図アプリや位置ゲーでもお馴染みのGPSは、「Global Positioning System」の略です。人工衛星からの電波をスマートフォンが受信して位置情報を取得する仕組みです。専用端末の設置等は不要であり、屋外の広範囲を捉えることができます。位置測定は緯度・経度単位。地下など人工衛星からの電波が届かない場所や、ビルのフロアなど立体的な「階層」を把握することは、技術的にまだ苦手としています。対象となるのは、特定のアプリ利用者です。
②Wi-Fi
Wi-Fiは、Wi-Fi機能を使用しているスマートフォンが「Wi-Fi電波を送受信している機器」(=アクセスポイント)と交信した履歴をもとに位置情報を推測しています。精度はアクセスポイント単位。ビーコンと異なり電波の強弱を調整することができない弱点はありますが、GPSが苦手な屋内を捉えるのも得意です。また、機器設置には電源と導入コストは必要ですが、街中にアクセスポイントが増えてきているので活用の幅は広がりそうです。
③通信基地局
安定的に通信するため、定期的にスマートフォンが基地局と交信している履歴情報をもとに、人の移動を把握する仕組みです。データ精度は基地局単位なので、ややざっくり。各キャリアの利用者が対象であり、カバー率が高く、大量のデータが取得できるため、よくメディアで紹介される人流調査の元データにもなっています。
④僕が得意とするビーコン
改めて、ビーコンは、「Bluetooth Low Energy(BLE)」を利用した端末です。スマートフォンアプリがビーコン電波をキャッチすることで位置情報を取得します。
電波範囲は周囲環境等にもより、強度を高めても最大100m程度と限られていますが、範囲内における精度は比較的高く、「地下」や「ビルの何階の、どのフロアの、どのお店に」といったGPSが苦手な部分もカバーします。
端末自体も数千円で購入でき、消費電力が少ないのも特徴。防塵防水性能を備えた機種もあるため、多少厳しい環境でも耐えてくれるのも嬉しいですね。電波発信の間隔は調整可能ですが、たとえば0.1秒間隔で飛ばすと“測位の隙(すき)”が生まれにくいので、人通りが速いところでも活躍してくれます。
ただし、利用できるビーコン端末があること、ビーコン電波をキャッチするスマートフォンアプリを通して利用許諾がとれている&BluetoothがONになっているなど、クリアすべき前提条件が存在します。
unerryでは、GPSとビーコンのそれぞれの強みを掛け合わせ、弱みをカバーすることで屋内屋外の位置情報をシームレスかつ高精度に捉えることができております。#PR
参考:https://www.mlit.go.jp/common/001243364.pdf
■ビーコンメリットを活かしたマーケティングを(できれば是非unerryと)
さて、ここまでビーコンは「端末」であるとお話してきましたが、実は最近では見慣れたこの形も変わりつつあります。たとえば、こちらは当社が展開している「Stap」というアプリです。Androidベースのアプリで、こちらを導入すると、決済端末などのハードウェアを「ビーコン化」することができます。
ビーコン活用は需要が拡大している領域です。今後の進化もぜひ楽しみにしていてください。
ビーコンを活用することで様々なマーケティングメリットを生み出すことができます。しかし、十分な効果を得るには、連携するスマートフォンアプリやビーコン数に一定の規模と、活用ノウハウが必要です。
unerryでは創業以来、ビーコンを使ったマーケティング支援を行ってきました。今後もブログやウェビナーなどでも情報発信できればと思いますので、是非ご興味ある方はメルマガ登録やウェビナーにもご参加ください!
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ビーコンの事なら何でも聞いてください。休日はお酒飲みながら料理をするのが日課です。スパルタンレース完走しました。
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