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2022.12.12

うねりの泉編集部

ローカル局の転換期!街がメディア化する未来にメ〜テレが期待する位置情報の役割とは?

ローカル局の転換期!街がメディア化する未来にメ〜テレが期待する位置情報の役割とは?

東海エリアのローカル局であるメ~テレ(名古屋テレビ放送株式会社)様とunerryは、各社が持つデータを掛け合わせたさまざまな取り組みに業界に先駆けて挑戦しています。

テレビの在り方が激変し、ローカル局全体の「転換期」とも言える現在、メ〜テレ様は未来に向けたどんな戦略を持っているのか。その中でunerryの位置情報はどんな役割を果たしているのかを経営戦略局 コーポレート戦略部長 豊山義明様にお伺いしました。

聞き手は、豊山様とのプロジェクトを中心的に進めるBeacon Bank事業部 一枝です。

登場人物

名古屋テレビ放送株式会社 経営戦略局 コーポレート戦略部長 豊山義明様

ADK、A.T.カーニー、楽天を経てメ~テレ(名古屋テレビ放送)。メ~テレではM&A、新規事業推進等に関わった後、現職。好きなメ~テレの番組は「おぎやはぎのハピキャン」「ドデスカ!」。

株式会社unerry Beacon Bank事業部 ビジネスプロデューサー 一枝悟史

株式会社電通でテレビを中心にマスメディアのプランニングを経験。在職中、株式会社プレゼントキャスト(現:TVer)に出向しプロダクト開発やアライアンスなどを推進。2020年10月よりunerryに参画。好きな食べ物は明太子パスタ。

「メ〜ロメロ!」地元愛を叫ぶメ〜テレ

unerry一枝:
本日はよろしくお願いします。まずは、メ〜テレについてご紹介いただけますでしょうか?

豊山様:
メ〜テレは、社是のひとつに「地域社会の発展に貢献」と掲げているように、地域貢献を使命とする東海エリアのローカル局です。

地元ニュースをお伝えする朝の情報番組「ドデスカ!」は、20年続いています。また、今年4月に開局60周年を迎えましたが、改めて「メ〜ロメロ!」という合言葉で東海3県への地元愛を叫び、さらに盛り上げていくことを宣言しました。

unerry一枝:
東海エリアの方にとっては生まれ育った時からずっと近くにある存在なのでしょうか。

豊山様:
そう思っていただけると嬉しいですね。

しかし、この20年の間で放送業界をとりまく環境は大きく変わりました。”テレビ放送”は、その存在がなくなることはないと思いますが、これまでのような影響力や役割を今後も全く同じやり方で保っていくことはおそらく難しい。貢献の方法は変えていく必要があると考えています。

分岐点、 メ〜テレは「リアルとデジタルの接点強化」を目指す

unerry一枝:
業界は、転換期にあるということでしょうか?

豊山様:
そうですね。今までローカル局は、事業内容としては同じようなことをやってきたと思います。しかし、これからは強みを活かした戦略を各社が真剣に考えなければならず、未来において何を軸に据えるかは各社の個性が出てくると思います。

メ〜テレが目指すのはコンテンツを大事にしながら「リアルとデジタルでの接点を増やす」こと。

これが、今後も地域貢献を実現していくために必要なことだと考えています。テレビ放送だけでなく、リアルな場でのお客様との接点を増やすとともに、デジタルでも新しい接点を作る。その強化に取り組んでいます。

本インタビューのために東京虎ノ門まで来ていただいた、豊山様

unerry一枝:
「これからの地域メディアはどうあるべきか?」という課題はローカル局に共通していると思いますが、御社は街中にサイネージを構えたりと、実際のアクションをすでに2,3年前からスタートしていて、かなり積極的な印象です。

テレビは長らく、“最強のメディア”であったために、既存事業を守ることを優先しがち、という面は業界全体でどうしてもあったと思います。

でも、視点を変えて未来に目線を置けば、動きやすくなる。unerryとの連携のきっかけにもなった「Nex’BN(ネクスビーエヌ)」プロジェクトはそういう視点を社内で持つためのプロジェクトでもあるのですね。

未来に目線を 。「Nex’BN」プロジェクトとは

豊山様:
「Nex’BN」は、2013年に発足した社内横断プロジェクトです。メ〜テレの略称である「NBN」と「next」の英語を組み合わせ、名づけられました。部署も年次も異なるメンバーが未来予測とそれにまつわるトライアルを実施しています。ここ数年は、デジタル化の加速やいわゆる”テレビ離れ”がおこる中での、「2030年に向けた未来予測」がテーマです。

プロジェクト推進のため、知見ある社外の方にもヒアリングする機会をいただく中、unerry代表の内山さんに「街のメディア化」というアイディアをいただいたことが、御社との連携のきっかけになりました。

unerry一枝:
本業のテレビ放送だけでなく、街中のリアルな媒体であるサイネージ、さらにデジタルも組み合わせていこう、という考え方ですね。

メ〜テレのサイネージ「Hisaya Central Vision」

豊山様:
「Nex’BN」は目の前ではなく10年後を考えています。私は経営企画が普段の仕事なので一部は重なる部分はありますが、技術や編成、制作、営業担当のメンバーも、目の前の現業とは異なるところでの知見の獲得や発想に繋がっていると思います。

unerry一枝:
私もMTGに参加させていただきましたが、様々な職種の方が自分ごととして会社の未来を真剣に考えていらっしゃいました。テレビ業界に限らず、社内横断でここまでDXに取り組んでいるプロジェクトはなかなかないと思います。

いつもよりさらに話の弾む一枝

街中のあらゆる場所が意味を持ち、メディアが価値を発揮する

unerry一枝:
「場所に意味を持たせる」ということをやっているunerryからみると、ローカル局って、その生業自体が「位置情報」そのものだなと感じています。

全国ネットも電波としてはローカル局を見ていて、テレビ放送は「電波が届く範囲」がコンテンツのベースにあります。電波が名古屋をカバーしているから、名古屋にいる人のためのコンテンツを届けている。

そしてこれからは、その単位がエリアや都道府県ではなく、緯度経度やビルや施設のフロア単位、もしくは電車の中などもっと細かくなっていくと思います。今、その場所にいる人に対してどういったコンテンツや情報を届けるかで、メディアがその価値を発揮できるかが決まってくるのではないか。その言い方を変えたのが「街のメディア化」ということであるとも思います。

街中においてテレビ放送は、災害情報などのエッセンシャルな情報発信を使命としていました。しかし、新しい世界ではどう便利な情報や商品・サービスとの出会いを作っていけるかがキーになってくると思います。それはビジネス的にも面白いところだし、個人的にも興味があって、ご一緒したいところです。

豊山様:
ありがとうございます。

テレビはエリアごとの発信に強く、それに最適化した届け方をしてきましたが、今後はリアルやデジタルといった別のコミュニケーション手段も展開することで、よりお客様と接点を持てると考えています。また、その際の情報発信は、リアルやデジタルのそれぞれに適した届け方をした上で、バラバラでなくいかに融合していくか。そのために「位置情報」が役に立つと感じています。

例えば、報道情報であればスマホアプリから災害・防災情報を必要な場所にいる必要な人に届けるとか、エンタメであればイベント会場でそれに合った発信をして新たなコンテンツ体験を産むとか、広告ではこのお店の近くにいる人にこういう広告を発信しようとか、色々な展開があり得ます。

テレビ局にもCRM的発想が求められる

unerry一枝:
現在、リアルな活動としては、実際どんなことをされているのでしょうか?

豊山様:
街中のサイネージはリアルなメディアの一つです。そのほか各種の興行イベントはもちろん、最近では内海千鳥ヶ浜海水浴場を盛り上げる「内海砂まつり」や、名古屋のど真ん中での大規模リアルイベント「ドデ祭」などを開催し、多くの方にご参加いただきました。また、幼稚園や保育園にメ〜テレのキャラクターであるウルフィとアンバサダーのアナウンサーが一緒に回る「ウルフィキャラバン」なども行っています。

お土産にいただいた局キャラ「ウルフィ」のグッズ

unerry一枝:
イベントやキャラクターを通じて、子供の頃からメ〜テレというメディアに親しんでもらうことは、東海エリアの方との長い目線での関係性構築に大きな役割を果たしていると思いますが、その発想自体新しく感じます。

これまでのテレビ放送は、電波を通してお客様と接点を何の苦もなく持てていたから、その点では課題意識すらもなかった。でも今後は、CRM的な発想で顧客接点を意識せざるを得なくなるのかもしれません。

ローカル局は尖ったテーマのファンコミュニティを狙え!

unerry一枝:
地域密着は大きなテーマである一方、TVerやYouTubeなどを通じて地域外への発信もできるようになりましたが、その点ではどうでしょうか?

豊山様:
特にエンタメ領域は地域を超えて全国に出しやすくなったと思います。

ただ、キー局のようなマスを狙うコンテンツではなく、より尖ったテーマのファンコミュニティに刺さる発信がメ~テレにはあっているのかと思います。たとえば「ハピキャン」はWEBメディア、テレビ番組「おぎやはぎのハピキャン」、YouTubeチャンネル等を組み合わせて、キャンパーのための濃いめの情報を全国へ発信しています。「ハピキャン」はリアルイベントでの展開も行っていますし、コンテンツ単体でテレビとリアルとデジタルを組み合わせて展開しています。

※WEBメディア「ハピキャン」は月間200万UU、YouTubeチャンネルはアウトドアメディア最多の25万登録者(2022.11時点発表数字)
ハピキャン|キャンプ・アウトドア情報メディア (happycamper.jp)

「テレビ」×「ほかのツール」 が得意なメ~テレでは法人向けマーケティングサービスも展開中
地上波番組・イベント・CM制作…etc メ~テレのアセットを紹介する「メ~テレオウンドメディア」
https://business.nagoyatv.com/

テレビ × サイネージ× デジタル広告の実験は?

unerry一枝:
ご一緒した実証実験については、どんなご感想をお持ちでしょうか?

実証実験について

メ〜テレの番組とデジタルサイネージの接触者を分析。また、そのデータを掛け合わせてターゲティングしたオンライン広告を配信する実証実験を実施しました。

▼詳細はこちら▼
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000916.000014977.html

豊山様:
「テレビとサイネージ、デジタルを結びつける」と、やりたいことは決まっていたのですが、我々だけではそのためのスキルを持ち合わせていませんでした。

unerryさんに相談すると、位置情報はもちろん、デジタルに強い。しかもテレビ視聴データに詳しく、人的ネットワークも全部揃っていました。一枝さん個人によるところも大きいのかもしれませんが…!

実証実験は、理論上やりたいと思っていたことが実現できました。その上で、すぐに使えることや課題も見えてきました。

unerry一枝:
そうですね。

テレビとデジタルとリアル。3つを掛け合わせた広告効果を、ユーザーセグメント単位でも計測できました。テレビ広告だと、視聴率すら言わずに終わることもあるくらいですので、メディアとして広告効果の可視化に取り組むこと自体は、とても意義があることだと思います。

しかし、3つのメディアを掛け合わせた方だけに、アプローチすることが広告主の目的ではありません。テレビとデジタル、リアルをどう使い分ければ最適なコミュニケーションをとれるのか?コンテンツの出し方なのか、商品設計での工夫が必要なのか、という課題を浮き彫りにすることが重要です。

私としては、サイネージを見ている人がメ〜テレを見ていることがわかったのが面白かったです。人はメディアに影響されて指先が動くんだって、実感しました。

豊山様:
サイネージについてこれまで分からなかった接触者の詳細データが取れましたし、メ~テレとサイネージの親和性だけでなく、テレビ視聴とデジタル広告、サイネージ接触とデジタル広告の相乗効果も確認できました。これらはすぐに活用できると思います。

位置情報はリアルとデジタルを繋ぐ、接着剤

unerry一枝:
さて、こちらが最後の質問です。「位置情報」は、メ〜テレにとってどんな役割を果たせそうでしょうか?

豊山様:
放送からリアルとデジタル、両方の接点を今後拡大していく際の、それらを繋ぐ「接着剤」になると思います。メ〜テレは、地域密着で人々との接点を持っていることが強みです。そこにデジタルを結びつけていく。それによって視聴者の皆様にとってより便利になること、より楽しんでもらえるようになることが重要で、そのための、とても重要な役割になると考えています。

unerry一枝:
メ〜テレさんとのお取組みでは、今のunerryがメディアに届けられるメニューのほぼ全てを提供、そして我々自身も初めてのことに一緒に挑戦しています。

unerryは、心地よい情報や体験を作ることを会社のミッションとしていますが、それは生活者との直接の接点をもつメディアさんと一緒だからこそ、できることだと改めて感じています。

今後も、頼れる「接着剤」でありたいと思います!

ー豊山様、ありがとうございました!ー

[取材日] 2022年11月4日 ※内容は取材当時のものです。

※撮影時のみ、マスクをはずしています。インタビューは感染対策に十分配慮したうえで行われました。

この記事を書いたのは

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