学ぶ
2026.07.23
Masayuki Fujita
花火は見たい、でも人混みは避けたい。人流ビッグデータで隅田川花火大会の「穴場」を探してみた

こんにちは、unerryインターンです。
この記事はunerryの学生インターン企画として取り組んだプロジェクトのご紹介です。
今週末に控えた夏の風物詩、隅田川花火大会。例年約100万人が訪れといわれる日本最大級の花火大会ですが、こんな悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
「花火は見たい。でも、あの人混みだけは勘弁してほしい……」
そこで今回、unerry が持つ人流ビッグデータ(スマートフォンの位置情報)と、国土交通省が公開する3D都市モデル「PLATEAU(プラトー)」を組み合わせて、こんな実験をしてみました。
「花火がちゃんと見えて、しかも人が比較的少ない場所」をデータの力で探し出せるか?
この記事では、その取り組みをご紹介します。

▲ PLATEAU の3D都市モデルで空から見た会場エリア。隅田川を挟んで台東区と墨田区の街並みが再現されています。
つくったもの:花火大会当日の「デジタルツイン」
ひとことで言うと、2025年7月26日の隅田川花火大会当日の様子を、まるごと3D空間に再現したものです。再現したものは次の3つです。
1. 花火
打ち上げ会場は実際と同じ2箇所(第一会場・第二会場)。花火が開く高さや大きさも、実際の花火大会の情報に合わせています。
2. 当日の混雑ヒートマップ
unerry の人流データをもとに、当日の夜、会場周辺 2km 圏内のどこにどれだけ人がいたかを、色のグラデーションで表現しました。赤いほど混雑、青や緑は比較的空いていた場所です。上空からヒートマップを見ると、隅田川の両岸が真っ赤に染まっていて、会場至近の混雑がいかに激しかったかが一目でわかります。
3. 建物による「見え方」
3D都市モデルには建物の形や高さの情報が入っています。つまり、「この場所から花火の開く位置までの間に、視界を遮る建物があるか」を計算できるのです。これが今回の実験のキモになります。
本題:「花火が見えて、人が少ない場所」をコンピュータに探させる
会場周辺のあらゆる地点について、次の条件をすべて満たす場所をコンピュータに探させました。
2.人が少ない — 当日の実データで混雑度が低かった
3.実際に立てる場所 — 建物の屋上や川の中は除外。さらに、川岸すぐの立入禁止になりやすいエリアも除外
条件を満たした場所の中から、混雑度が低い順に上位のスポットを選び出します。
結果:穴場はちゃんと存在した
分析の結果、会場から歩いて行ける距離なのに、当日でも比較的空いていて、かつ花火への視界が開けている場所がいくつか見つかりました。台東区立石浜公園、一寺言問集会所の広場あたりも候補になりそうです。
周辺のスポットを上空から見たものが以下のマップです。

▲ ヒートマップは赤色ほどその場所の人が多く、緑に近いほど人が少ないことを示します。
台東区の隅田川近くにある石浜公園からの花火の見え方を模したものがこちらです。

▲ 推奨スポットのひとつ、石浜公園。会場から少し離れるだけで、混雑度はぐっと下がります

▲ 実際に「石浜公園」に行ってみました。建物の形状は異なりますが近しい雰囲気になっているのではないでしょうか?
今回の結果は、2025年の当日データに基づいています。毎年状況は変わりますし、街も変わっていきます。それでも「データに基づいて混雑を避ける」というアプローチの手応えは十分に感じられました。
裏側をちょっとだけ:どうやって作っているの?
技術的な詳細は省きますが、ざっくりした流れはこうです。
1.人流データの抽出 — unerry のリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」から、花火大会当日・会場周辺の位置情報ログを統計加工して抽出
2.3D都市モデルとの合体 — 国土交通省の PLATEAU(台東区・墨田区の3Dモデル)に、混雑ヒートマップと花火を重ねて可視化
3.穴場探索 — 全地点について「花火への見通し」と「混雑度」を計算し、条件を満たすスポットを抽出
ポイントは、「人がどこにいたか」という実データと、「街がどんな形をしているか」という3Dモデルを組み合わせたことです。どちらか一方だけでは、「空いていても花火が見えない場所」や「見えるけど激混みの場所」が混ざってしまうので。
おわりに:人流データは「混雑を避ける」ためにも使える
unerry は「心地よい未来を、データとつくる。」をミッションに、人流ビッグデータの分析・活用に取り組んでいる会社です。
人流データというと店舗の出店計画やマーケティングでの活用が知られていますが、今回のように「混雑を避けて、みんなが快適にイベントを楽しめるようにする」という使い方もできます。イベントの警備計画、混雑分散の施策、防災・避難計画など、応用の幅は広がっています。
今回のプロジェクトは学生インターンが中心となって取り組みました。unerry では、リアル世界のビッグデータに触れながら挑戦できるインターンの機会も提供しています。興味のある学生のみなさんも、「うちの街・イベントでもこんな分析をしてみたい」という自治体・企業のみなさまも、ぜひお気軽にお声がけください。
インターンは現在も募集中!! ご興味いただけた方はぜひインターン募集ページよりご応募ください!(うねりの泉編集部)
※unerryの人流ビッグデータは、同意を得て取得された特定の個人を識別することができない個人関連情報です。また法令およびユーザーの許諾の範囲で取得・活用をしています。
3D都市モデル:国土交通省 Project PLATEAU(CC BY 4.0)
この記事を書いたのは
-
-
Masayuki Fujita 記事一覧
unerryでインターン中の東京大学大学院 工学系研究科の修士1年生。unerryでは人流ビッグデータの分析に携わり、大学院では心理学と交通工学を組み合わせた、よりリアルな歩行者シミュレーションの研究を行っている。趣味は旅行と野球観戦。
ABOUT
「うねりの泉」は、「リアル行動データ」活用のTipsやお役立ち情報、そして会社の文化や「ひと」についてなど、unerryの"とっておき"をご紹介するメディアです。


